"We are what we eat"

この言葉は、私たちが生まれた時から口にした食べ物が、私自身のカラダの成分になっているという意味です。

ひとのカラダを形成する細胞も、脳内や体中を駆け巡る血液も、より良質な食事を摂れば健康になり、添加物などを多く含む食事に偏れば不健康になる。

とても単純な仕組みです。

この単純なセオリーは「カラダ」の形成だけでなく「思考」の形成にも同様の影響を与えます。

良質な情報をより多く摂取すれば良質な思考が育ち、悪質な情報ばかりを受信しつづければ思考が劣化する。
カラダも思考もまったく同じセオリーで「クオリティー」が決まります。

これが「インプット・クオリティー」による身体と思考への影響の関係性です。

同様に、習慣的な運動は健康なカラダを維持します。
運動によってカラダの各部位が稼働し負荷がかかります。ひとのカラダは負荷を感じるとさらに栄養を使ってカラダを成長させようとするため、運動によってカラダはさらに成長します。運動しないカラダは成長を食事だけに依存するようになり、運動するひとに比べて成長が大きく遅れていくのです。

ただし、体重オーバーのひとがいきなりハードな運動を始めたり、十分な基礎体力がないままにプロアスリートのマネをしたりすれば、当然のようにケガのリスクが増加します。運動自体はカラダに良い影響を与えるものですが、それは「適切」な負荷であることが肝心です。

運動するという行為は、カラダからのアウトプットです。現在の身体能力に合致した適切なアウトプットを行うことで、カラダはケガなく成長していくのです。

 

 

起業家のアウトプットは、カラダに対する運動と同じ影響を及ぼします。能力に合致した適切なアウトプットができれば起業家としての成長を促進しますが、アウトプット(行動)しない場合や、アウトプットが適切でない場合、むしろ起業家としての人生にリスクが発生します。優れた起業家の成長は、インプットとアウトプットの適正化によって、意図的にコントロールできるのです。

"Lean Startup Japan"が開催する起業家育成プログラムでは、受講生が取り組む事業テーマに関して、必ずなんらかの「一次情報」を入手するよう勧めています。著名な作者が書いた書籍から学ぶことも大切なのですが、起業家としてより大切なのは「誰かの考え方」を知ることよりも、一次情報としての「データ」や「統計」などから「自分の考え方」を養うことです。摂取する情報のクオリティが変化するだけで、思考の質は改善できるのです

実は前回お話しした「問題を間違えるから解答を間違える」という症状は、主にインプットの質の低下によって引き起こされるのです。

こうしたマイナスの連鎖はアウトプットでも同じ現象が起きます。

多くのひとは、十分な情報を蓄積してから行動を開始しようとします。逆の言い方をすると、準備が完了したら行動を開始しようと考えるのですが、残念ながら、行動を伴わずに準備が完了することは決してありません。起業家の行動の基本原則は「わからないからやってみる」なのです。

また、体重オーバーのひとがいきなりジョギングを始めてケガをするのと同じように、起業初心者がいきなりシリアル・アントレプレナーの真似事をして失敗していきます。インプットとアウトプットの原理原則は、カラダを形成する食事と運動と同様に、取得する情報と適切な行動が、起業家としてのクオリティに影響するのです。

今回の起業デビュー・サポートシリーズでは、このインプットとアウトプットがどうあるべきかについて詳しく解説していきたいと思います。

思考の形成に最も影響を与えるインプット。起業家を目指すにはどのような情報が「良質」だと言えるか、様々な角度から解説します。
お楽しみに!