“Lean Startup”とは

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リーン・スタートアップの歴史

リーン・スタートアップの誕生

「リーン・スタートアップ」とは、アメリカのシリアルアントレプレナーであるエリック・リースが提唱する、新規事業開発および起業プロセスです。2008年に同氏が開設したブログサイトにて自身の起業体験を「リーン・スタートアップ」と名付けて紹介し大きな反響を呼びました。2011年に発売された同名の書籍(日本語訳は2012年)をきっかけにリーン・スタートアップは世界中の起業家の間で認知されるようになり、スタートアップのみならず、エンタープライズにおいても事業開発プロセスのスタンダードとなりました。
http://www.startuplessonslearned.com/2008/09/lean-startup.html

かつて、リーン・スタートアップ以前の常識では、事業を成功させたかったらとにかくアイディアを磨き、事業計画を完全に整えてから一気に資源を投入すること、と信じられていた時代がありました。しかし、このやり方は「ニーズが確実」な事業においては最もムダの少ないプロセスでしたが、時代の変化とともにニーズの把握が困難になり、「マーケットが必要としていない製品・サービス」に対して大量の時間とお金を投入し、その結果、多大なる損失を生み出すようになったのです。

リーン・スタートアップはこうした事業開発プロセスの「失敗事例・パターン」に着目し、こうしたやり方で失われる多くの時間と資源をムダにしないために、経営や起業プロセスで克服することを推奨しています。一気に資源を投入するという失敗パターンによる教訓から、事業アイディアはなるべく早いタイミングでニーズの存在を確認すべきという考えが生まれ、クラウド環境などをフルに活用して早期にニーズを検証(MVPと言います)し、フィードバックからアイディアを修正(ピボットと言います)していったほうが成功する確率は上がる、という考え方が、起業の新たな常識(パラダイム)となったのです。

終わりゆくリーン・スタートアップ

「とにかく早期にMVPを作ってピボットをする」
2014年頃までは、こうした事業設計プロセスを「リーン・スタートアップ」と呼んでいました。しかし、2017年現在、すでにこのような起業プロセスのことを「リーン・スタートアップ」とは呼べません。誰もが短期間、低コストでサービスを開始できる時代においては、ただ単に「出してみる」ことはもはやアドバンテージでもなんでもなく、むしろ「無計画」によるリスクはとても増大したからです。

リーン・スタートアップを始め、企業経営には数多くの「曖昧語」が存在します。「戦略・戦術」「KGI・KPI」「マーケティング」「ビジネスモデル」「ユーザ体験」など、用語そのものは広く浸透していても、その定義がとても曖昧な言葉が氾濫しており、多くの起業家や経営者はこうした曖昧語によって振り回されています。事実、先のような「とにかくやってみる」というやり方で起業したスタートアップの多くは場当たり的なピボットを重ねた結果、自分たちがどのような目的で事業を興したのかすらも思い出せずただ時間を浪費するという、新たな失敗パターンを生み出しました。そこで失われる時間は、かつての「一気に資源を投じる」というやり方と何も変わらないほどに肥大したのです。起業や新規事業開発では、創業者や経営者が安易にこうした曖昧語に飛びつき、本当の意味を理解しないまま単なる「新しい手法」を採用することで、新たな失敗パターンを生み出しているのです。

「アイディアと計画を完璧に整える」と「とにかくやってみる」という両極には、どちらにも大きなリスクがあります。どちらのリスクも顕在化してしまうと多くの時間と資源を失うため、「とにかくやってみる」はもはやリーン・スタートアップとは言えないのです。

これからのリーン・スタートアップ

では本当の「リーン・スタートアップ」とは、いったいどのような意味を持つのでしょうか。

今後も起業や新規事業開発を巡る環境は大きく変化を続けます。IT関連の開発環境やインフラ環境はもちろん、雇用はさらに流動化へ向かい、金融は今よりもっと多様化し、マーケットの要求はさらに細分化、短命化へ向かっていくことでしょう。現代の常識は、とても賞味期限が短いものなのです。

起業時や新規事業開発時に大きなムダを生むのは、主に、環境の変化への対応に遅れることや、予想が外れることから生じます。事業投資というリスク・マネジメントが大切な環境においては、事業計画を重視すべきか、やってみることを重視すべきかのどちらか一方に正解があるわけではありません。展開する事業内容やそのときの環境などを十分に考慮し、どのような不測の事態になっても、貴重な時間と資源のムダを最も減らす手段を見いだし続けることこそが、「リーン・スタートアップ」という取り組みの本質なのです。

これを実現するには、単純な事業設計ではなく、より革新的な経営が求められます。
しかし「経営」というとMBAに代表される「マネジメント」が連想されますが、必要なのは「創業時の経営」です。
成功した経営者でも創業時の経営は一度しか経験がなく、多くの大企業社長は創業の経験すらもないため、誰もこの知見がないのです。

リーンスタートアップジャパンは、この特殊な「創業時の経営」がどのように設計されるべきなのかを、科学的な根拠と現場での仮説検証を通じて立証する独立法人です。未来の経営に革新をもたらすことこそ、イノベーションへの最短ルートであることを探求していきます。