ゲイ専門のSNSとして注目されている”Fabulis”のCEOであり、就職サイトの”Jobster”やニュースフィルタの”Socialmedian”の創業者でもあるJason Goldbergが、自身のブログで「3つの起業で得た57の学び」という記事を公開しました。記事中にLean Startupという言葉は登場しませんが、内容はまさにLean Startupそのものなので、紹介したいと思います。製品出荷サイクルや資金調達、チームビルディングなど、様々な分野の「学習」が語られていますので、ぜひ御覧ください。

なお、やはり学習の中には”Principle(行動規範)” と”Practice(実例)”が混じっています。Practiceはあくまで著者の主観とビジネスモデルに基づくものなので、あくまで参考として読むことをお勧めします。

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私は1999年から、テクノロジー企業の創業や支援をしてきました。

一番新しい会社はFabulis.comです。

これは、このような体験から学んだ57の学習リストです。

もっと挙げようと思えば挙げられるのですが、退屈させないぐらいにしました。

1. 自分が熱中できる製品を造れ!自分こそが最高のターゲットユーザだ。

2. ユーザ体験は重要。失敗する製品のほとんどはユーザが製品価値を見いだせなかったもの。多くの製品が複雑すぎて失敗している。

3. 技術を理解しろ。自分でソフトウェアを開発する必要はないが、製造方法と、どうやって機能するかは理解しなければならない。

4. スタートアップのCEOは、「ぜったいに!」プロダクト・マネージャーでなければならない。自分自身で必ず使用体験が必要。

5. 機能の優先リストを作成しなさい。2つ以上の機能を同等に扱ってはいけない。同時に全てはできないから。優先順位付けを進めなさい。

6. バグ・トラッキングシステムを使用し、規則正しい開発管理手法でアクションを起こしなさい。

7. 出荷しなさい!ユーザが使用して、フィードバックをしてくれない限り、製品の良さは評価不能!

8. 素早く、そして頻繁に出荷すること! 余計な機能は無視して構わないので、ユーザがフィードバックできる最低限の機能で出荷する。フィードバックを得て製造プロセスを繰り返し、次のバージョン、次のバージョンと素早くリリースすること。最初の製品出荷に3ヶ月以上かかってるとしたら遅すぎる。製品のアップデートに3週間以上かかっているとしたらそれも遅すぎる。1週間に数回、とは言わないが、軽微な更新は毎週実施すべし。大きな更新は3週間ごとだ。

9. 問題はきみの製品が「どれだけ素晴らしいか」だ。それ以外は関係ない。

10. きみの製品がどれだけ素晴らしいか?は、ユーザがどれだけ頻繁に使うか?しかない。

11. (9と10に追加して)よって、将来成功するかどうかのキーは、スタートアップ初期のトラクションにかかってる。アーリーアダプターとの交流をいかに深めるか?に多くの時間を投じ、より良いものにしていくかを考えろ。上手く対応できれば、より深い交流を生む!

12. 当初予定していたことの50%が実行に移れば、きみはよくやっている!出来る限りユーザをフォローすべし。

13. しかし(ユーザからのフィードバックを)フォーカスグループに頼ってはいけない。フォーカスグループは、修正すべきところや、もしかしたら取り組むべき面白そうな機能の特定には役立つが、そうした情報をどのように評価し、どれを採用するのかは自分自身で考えなければならない。

14. ほとんどのユーザは5つから7つぐらいのサービスしか「頻繁に」使わない。もし自分のサービスをそのうちの1つにしてもらって成功したければ、その他のサービスとどのようにフィットするかを考え出さなければいけない。つまり、ユーザの興味、熱望、信頼を得ることだ。ユーザがきみのサービスを使う「もっともな理由」を提供しなさい。

15. 上昇している「既存の」マーケットに乗っかれ!自分だけのマーケットではなく。もし乗っかれたら、上昇している大きなトレンドを捕まえろ

16. 「シェルパ」を探せ。スタートアップの資金調達や交渉事などの経験者のことだ。見つけたら自社株の1から2%を差し出して、協力してもらえ。そして、将来の投資家への扉を開けてもらうんだ。会社の成長戦略は大人数で考えずに、この人の反応を確認しなさい。アドバイザリーボードは役に立たない。誰か一人見つけてシェルパにし、頼るんだ。

17. 限りなくベストな人とチームを組め。もし遠くに住んでたとしても。

18. チームはできるだけ近くに住め。やむなく離れて仕事する場合でも、上手くいくためには「顔を合わせる」ことだ。オンラインでのコラボレーションが機能するのは最大で3、4週間のインターバルに限る。つまり毎月一度は会合を開くべきだ。

19. そばにいて欲しいと思う人とチームを組め。好きじゃない誰かと議論するのは不毛だ。

20. 家族同然に信用できる人間とチームを組め。

21. できるだけ長時間、家で仕事しろ。

22. デスクの向きは共同創業者と向かい合わせにすること。もし毎日目を合わせるのを楽しめなかったら、誰か他の人を探したほうがいい。

23. Yammerなどのツールを使って、社内で情報を共有すること。(特に開発者には)メールで報告するよりずっと簡単だ。

24. basecampのようなファイル共有サービスを使うこと。メールで管理するのは困難なので、こうしたサービスで履歴も分かるリポジトリを持つといい。

25. 自分の得意なことを素早く見つけ出し、自由な時間にはそれをやること。チームのメンバーにも同じようにしてもらおう。

26. きみの欠点を補ってくれる人とチームを組むこと。彼らに得意なことをやってもらって、自分ではやらないこと。

27. 特定の分野において、きみより頭がイイ人と働くこと

28. きみに「ノー」と言える人と働くこと

29. 仕事中に(同僚と)ぶつかってもいいが、帰宅後にはさっぱり忘れること

30. きみが解決したいと思ってる問題を解決することに熱中できる人と働こう。お金儲けに「燃える」だけじゃなくて、顧客と顧客の問題解決に燃えないとだめだ。

31. 自分が顧客を大切にするのと同じぐらい気にするように、周りの人もそうするように後押ししよう

32. 誠実でいなさい。人を振り回すのではなく、育て、導くのです。

33. あなたの本当の姿は、あなたが「考えている」あなたではない

34. 週に4回はジムに行くかジョギングをしなさい。考えをシェイプしたかったら、体をシェイプするのです。

35. 8時間以上のフライトでない限り、飛行機の中ではアルコールを飲まないこと。あなたとあなたの時間を無駄にするだけです。

36. 投資家を選ぶ基準は、「一緒に働きたい」「友人でいたい」「この人からアドバイスを貰いたい」です。

37. 評判で投資家を選ばないこと。株式分割をどうするか?は、長い目で見ればあまり大きな意味はありません。あなたに合った人と仕事することのほうがずっと大切です。

38. 最初のスタート時には、必要最低限の資金を調達すること。すべての支払は、残っている最後のお金を使うような感覚でいられるぐらい、シビアになるべし。

39. でも、トラクションがかかったと感じたら、必要最低限「以上」の資金を調達しなさい。でも使い道が分からないような金額は必要ありません。株式譲渡に対する恐れを理由に、資金調達をいい加減にやらないこと。

40. 1円の支払いでも、最後の1円だと思って支払うこと

41. あなたがどんな会社を作ろうとしているのかを理解すること。GoogleやFacebookになれる可能性はわずかですが、1000万ドル、2000万ドル、1億ドルのイグジットも、イグジットできないのもあなた次第なのです。いきあたりばったりではダメです。あなたの持ち株比率と時間的な観点から言えば、2年で2000万ドルのイグジットする会社の20%の株主でいるほうが、5年で1億ドルのイグジットする会社の3%の株主でいるよりずっとましです。

42. #41と関連して:自分の事業が「VCビジネス」向きかどうかを理解すること。「VCビジネス」では、投資家への(投資額の)10倍のリターンが求められる。つまり、投資評価額が500万ドルであれば、最低でも5000万ドルでイグジットが要求されるということだ。1000万ドルなら1億ドルがターゲットだ。このターゲット以下でイグジットすべきでない、とか、出資者全員が幸せな結果を得るべき、と言っているのではない。そのような評価額でVCからの出資を受ける意味を理解しなければならないという意味だ。VCから出資を受ける意味と、自分が何を期待されているかを理解することだ。

43. きみのビジネスのゴールは、きみの投資家のゴールと「同一線上」だってことを肝に銘じること。ビジネスはきみがヤル気になった時だけ成功する。投資家がビジネスを成功させることはできないし、CEOをヤル気にさせることはできない!

44. カンファレンスはたいがい時間の無駄だ

45. 笑顔で、笑って、ヘンなソックスはけ! オレは退屈をケチらしてクリエイティブでいるためにそうしたんだ!

46. 何か、何でもいいから、自分はロボットなんかじゃない、ということをしろ。人々に本当の自分を知らしめろ!

47. 悩み事には光を灯せ

48. どこ行くにも自社の(ロゴ入り)Tシャツを着ろ

49. 自分独自のカスタマーサービスをしろ

50. 良いストーリーを語れ

51. でもウソはつくな! 絶対に

52. 周囲の人からインスピレーションを得よ

53. 毎日を楽しめ! 楽しくなくなったらやめろ! 人からやらされるもんじゃない。

54. 販売時の評価は信用に値する。現在の品質は、最後の販売時の評価とイコールだ。

55. 失敗しろ! でもそこから学習しろ! オレなんか山ほど失敗したぜ!

56. 成長するな! 成熟しろ!

57. ネバーギブアップ!