Meetupなどでも必ず質問として上がるのが、
「どうやったら最初の顧客(ユーザ)は見つかりますか?」
「最初の顧客はどこで探せばいいのですか?」
という質問です。
私はこの質問には3つの回答(手段)があると思っていますので、今回は最初の1つをご紹介したいと思います。
「アントレプレナーの教科書」では、最初にそのサービスを利用してくれる貴重なユーザのことを「エバンジェリスト・ユーザ」と呼んでいます。
エバンジェリスト・ユーザにはいくつかの特徴があり、その特徴の中に、どうやって出会えるのか?の最初のヒントが隠されています。
エバンジェリスト・ユーザの特徴とは、
- 課題を抱えている
- 課題を抱えていることを自覚している
- 課題の解決策を積極的に探している
- 課題解決のためになんらかの行動を起こしている
- 課題解決のための予算がある
さて、ヒントは見つかりましたでしょうか。
そうです、
「課題解決のためになんらかの行動を起こしている」
ということです。
つまり、あなたのサービスの競合にあたる、何らかの代替手段となりえる製品やサービスの側に、エバンジェリスト・ユーザは存在しているのです。
例えばこのブログでも何度も取り上げている“Dropbox”というサービスであれば、ユーザは例えば、家とオフィスのPCで共に資料を編集し、同期しようとしています。
こうしたユーザがDropboxを使い始める前に起こしている行動といえば、
- Webストレージを利用している
- USBメモリを持ち歩く
- メール添付で送信する
などの代替手段です。
このように、サービスの代替手段が見つかれば、こうした行動をとっているユーザに出会うための手段を考えれば良いのです。
「このような手段を使っているひといませんか?」とtwitterで呼びかけてもいいですし、家電屋でスーツ姿でUSBメモリを購入している人にインタビューしてもいいかも知れません。
そうやって出会ったユーザには、次の様に聞いてみます。
「あなたは家とオフィスのPC両方で資料を編集する際に、ファイルの管理に困っていませんか?」と。
代替手段を使いながらも、こうした質問に対して、
「いや、特には困ってないけど・・・」
という答えが返ってきたとしたら、そのユーザはあなたのサービスにとっての典型的な「レイト・マジョリティー」なので、そのユーザからのフィードバックは何の役にも立ちません。
「うん、確かに困っているけど、まぁ、代替手段で満足してるよ」
という答えが返ってきたとしたら、将来的にはユーザになってくれる可能性が高いですが、典型的に「アーリー・マジョリティー」に属するユーザ層なので、このユーザも現時点では無視で大丈夫です。
「あぁ、ホントに毎日ウンザリしてるよ!こないだも古いバージョンのファイルを更新しちゃって大変だったんだ・・・」
などという答えが返ってきたら・・・
ビンゴ!このユーザこそがあなたのサービスにとっての「エバンジェリスト・ユーザ」候補です!
そして、この段階で「顧客の課題仮説」に対する検証が1つ完了しました。
このユーザに対しては、そのまま続けて「製品仮説」も聞いてみましょう。
得られるフィードバックは、あなたの製品に搭載すべき必要最小限の機能(MVP)のヒントに直結するはずです。
「どうやったら最初のユーザに出会えるだろうか?」
と考え始めた瞬間に、どのメディアで広告を出すべきなのか?などと考えているうちは、まったくリーンスタートアップにはなりません。
創業者チームでまず実施するブレーンストーミングのテーマは、
「われわれの製品を利用するユーザは、『今は』どんな代替手段を使っているだろうか?」
なのです。
いかがでしたでしょうか?
次回は2つめの手段「ユーザをセグメントする」をご紹介します。
お楽しみに!