サービスのコンセプトが決まったら、すぐにランディングページを作成して、サービスがローンチしたタイミングで通知してくれるサービスが増えてきました。

Ash Mauryaの”Running Lean“でも、リーンスタートアップの実践方法として、ランディングページの早期立ち上げを推奨しています。

私も様々なサイトを訪問して新サービスを日々試しているのですが、このランディングページの作り方には、いつも共通した問題(間違い)があると感じているのです。

それは・・・

サービスのコンセプトや利用手順ばかり紹介されていて、なにを解決してくれるのかさっぱり分からないのです。
もっと簡単に言うと、そのサービスを利用した後に、自分がどのように幸せになるか、まったく想像できないのです。

「新感覚のソーシャルメディア」
とか言われて、そのサービスを使った後の自分の幸せな姿って想像できますか?

初めてサイトを訪れたユーザは、サービスの概要をチェックする際に、そのサービスが自分の課題を解決してくれるのか?という視点で見ています。なのに機能の紹介やコンセプトしか記載されていないために、ユーザはどんなサービスなのかを理解する前にサイトを離脱してしまいます。

ランディングページでは、サービスを利用した後の「ユーザのハッピーな姿」を見せてあげてください!

このような焦点が定まらないランディングページを作ってしまうと、様々な残念なことが起こります。

例えばそのサービスがローンチ前だった場合、ようやくローンチ通知メールが来ても、なんのサービスだったかさっぱり思い出せません。

毎日大量にメールを受信する私としては、思い出せないようなサービスにアカウント登録するほどヒマではないので、当然のようにスルーします。

しかし、マーケットは私なんかよりももっとシビアです!!

ではなぜこのようなことが起こってしまうのでしょう。

こうしたつまずきは、主に3つの原因によって生まれます。

  1. そもそもファウンダーがまったくマーケティングセンスがない
  2. ファウンダーが、自分が取り組んでいる「ユーザの課題」をまったく把握していない
  3. ファウンダーが、ユーザがどのように課題を解決してくれたら嬉しいかをまったく把握していない

1が原因の場合、ファウンダーにもう少しセンスを磨いてもらうか、チームにセンスのあるメンバーを投入する以外に解決策はありません。しかし、2と3が原因なら、リーンスタートアップを実践することで容易に回避することができるのです。

なぜなら・・・
2のような状態が生まれるのは、課題仮説検証を行なっていない証拠です。
3のような状態が生まれるのは、ソリューション仮説検証を行なっていない証拠です。

2または3の場合、ハッピーエンドを書きだそうとしてもきっと何もかけません。
ユーザの幸せがどのように訪れるのか、サービスを提供する本人が、まったく想定できていないのです。

その状態に気づいたら、そう、あなたはまさに”Pivot”が必要なタイミングかもしれません。
もう一度課題仮説の設定に立ち返り、自分が誰のどのような課題に対して、どのようにイノベーションを起こそうとしているのかを仮説にして、直ぐに検証をしてください。

しかも、このような現象はなにもランディングページのみに現れるわけではなく、実際にアプリを起動した際やサービスを使い始めた際にも同じことが起こります。

サービスが「ユーザの課題解決」に対して、適切に導いてくれないのです。

前回の記事でも少し触れましたが、課題解決に適切に、ストレスなく導いてくれること、それが「UX」です。

他のどのようなサービスでも解決してくれないことを叶えてくれる、つまり「使用前・使用後」の「使用後の幸せな姿」を提示できないサービスは、誰も使ってくれないし、継続して利用してくれません。

エバンジェリスト・ユーザは、あなたの「ビジョン」に対してお金を支払ってくれる訳ではありません。彼らは「課題を解決してくれるサービス」に対してのみ、喜んで対価を支払ってくれるのです。

サービスコンセプトのタイミングで、ユーザの課題を特定しないという誤りを犯したスタートアップは、このように後々までその代償を払い続けることになるのです。

ちなみに、「ソーシャルの明るい未来を創造する」といったコンセプトだけのランディングページや、製品・サービスの機能などをチラ見せするティーザーサイトが効果を発揮するのは、すでに訪問者がその企業がどのようなサービスを提供するのかを知っている場合(つまりブランドが確立している)だけです。

スタートアップのランディングページで必要なのは、
「機能を売るな、ハッピーエンドを売れ!」
という事です。

さて、ランディングページでこれらを的確に伝えるためにあなたに与えられた時間はわずか8秒足らずです。エレベータ・ピッチよりも更に短いこの時間の中で、あなたはユーザの心をとらえることができますか?

もしあなたが「アカウント登録が伸びない」「ダウンロード数が伸びない」などの悩みを抱えていたら、ランディングページ、アプリのダウンロードサイト(iTunesなど)のコピーを見直してみてください。
そして、課題仮説検証やソリューション仮説検証を怠るなどの自覚症状があるようでしたら、今からでも遅くないですから、検証をしてみてください。必ずユーザの姿がしっかりと見えるようになってきます!